日本は没落する 榊原英資 (2008年 6月)
※ 歳出の大幅削減や消費税増税がとられない限り、日本の財政は10年〜15年内に破綻する。
日本は大幅な減税か、国家破綻のどちらかを選ぶことになる。
財政だけでなく、日本経済牽引役である民間企業の競争力も弱体化10〜15年後には
韓国、中国、インドに追いつかれ追い越される可能性が高い。
※ 欧米から世界経済の重心がアジア等新興市場に移っていく中、新興国に出遅れ、
世界的競争に打ち勝っていけるか極めて疑問である。
中長期に見て、日本の最大の問題は教育の質の問題である。
肉体労働や工場でパターン化された仕事は産業のアウトソーシングが更に進む。
雇用の観点からは、B・カラーもW・カラーも減少し、プロフェッショナルが重要性を増す。
また、ヤングである必要性も男性労働である必要性も無い。シニアと女性が重視される。
今の日本は技術者の待遇が低すぎる。人事制度を根本的に変える必要がある。
※ 産業資本主義では何よりお金が大切だった。 その時代が終わりを告げ、
今後は「技術」「知識」「情報」の時代である。それを支えるのが教育である。
※ 「ヨーロッパ」から「アメリカ」から「アジア」を含むBRICsへ
2030年に中国がGDP世界一に、2040年にはインドがアメリカを抜き2位になる。
※ 「貿易」から産業革命による「産業資本主義」から「金融資本主義」へ
かって日本の中心産業は繊維、重工業等であった。
今は工業は人件費の安い中国やアジア諸国へ移転。産業の中心は、製造業からサービス業へ
移行する中、日本の金融、保険産業は大きく遅れている。
※ 資本が国境を簡単に越える時代、中国は欧米や日本からの資金によって急速に工業化が進み、
雇用の増大と所得の増加をもたらし、欧米を越える巨大な新市場が生まれる。
※ 日本の累積債務は現在、1000兆円、なおも毎年30兆円の増加。
加えて、少子化による年金、医療制度の破綻。年金の切り下げそして、貿易収支の悪化から
将来、構造的円安に入り生活水準が大きく落ち込む。
本来、年金積立金を公共事業に回すべきではない。厳しい制約があるべきである。
※ 金融バブルは4〜5年で巨大化。そのバブル始末に10年かかった。
今回のサブプライム問題はかなり時間を要する。
※ ポスト産業資本主義の時代では、資本が実体経済とは離れたバーチャルな空間で増殖していく。それを助長したのが通信技術の発達である。
※ 外国為替市場では、一日の取引量が1兆5千億ドル(200兆円)で98%は投資家資金。
※ 80年代までの銀行は、商業銀行が主力だったが、ポスト産業資本主義に入ると
投資銀行に業態を変え投資が主力になった。そして情報こそが価値を生むようになった。
※ ゴールドマンやモルガンは日本の銀行より収益性に優れているのは情報収集能力による。
日本のメディアや銀行は、「技術、知識、情報」にお金が集まることを理解していない。
21世紀は、グローバリゼーションの時代、「知識」「技術」「情報」の時代である。
これらは教育のバック・グラウンドで成り立つ。
※ 今後の日本の競争相手は、欧米だけではなく中国、インド、台湾、韓国などアジアの国である。
06年度、日本の研究開発費は1300億ドル、中国1500億ドル、韓国も伸びている。
※ サムソン電子の李社長は、「社長を越える年俸を出せる人材を探せ」と言う。
役員報酬は平均一人5億円(日本の約10倍)である。平等主義は崩壊し、技術者を厚遇。
03年の利益では1兆円以上を出す。世界の製造業ではトヨダに次ぎ2番。
「一人の天才が10万人を養う」ここにサムソンの哲学がある。
日本式雇用システムの崩壊が始まる。
※ 中国清華大学、上海復旦大学は傘下に80以上の企業がある。毎年40億円の利益を還元。
中国の大学は約2000校で、2000年から約2倍で、最も伸びた産業である。
毎年11万人が海外留学している。トップクラスの学生は欧米を目指す。
※ 07年度、中国の携帯電話は5億台を越える。インドは2億台を越える。
07年、中国自動車販売台数は25%UPで台数は日本(400万台)を越えて1000万台に。
現在、中国では2億人以上の中産階級が居る。
※ インドの金融市場は早くから整備されていた。中国上海株式市場の半分程度の規模がある。
インドの株式市場は一時的な暴落があっても長期的には確実に成長が見込める。
※ 人口は現在11億人、2050年までに中国の人口を抜く。2020年頃に経済成長率で
中国を抜く。インドのソフトウエア産業の80%はアメリカ向けである。
※ 石油生産量は2010年がピーク、2030年から、生産が減少する。
※ 中国の石油自給力は約50%。日本の06年食糧自給率が39%に低下した。
※ 中国の大豆消費は10年間で3倍になった。世界の大豆輸入量の半分を輸入している。
※ 日本の大衆迎合主義が、日本を滅ぼす。大衆迎合政治家とマスコミにこの国は任せられない。
※ 共産党支配化で中国が成功した理由は、独裁政府主導で計画的自由化を決行することが出来た。
※ 日本の出生率は、05年1.25%と過去最低。日本では若い世代が高齢者に保険料、
年金を貢いでいる。 金融資産は高齢者で1200万円、30代5百万円以下でしかない。
※ 日本の金融資産は1500兆円、80%以上を50歳以上が所有している。
※ 中国の外貨準備高は1兆5000億$、日本は約0.9兆$
※ アジア及び中東の国でドルからユーロへシフトしている。ドルの下落傾向にある。
今、アメリカ経済を支えるのはGEなど製造業ではなくG・SやM・スタンレー等の金融業である。
製造業の中心は発展途上国に移し空洞化が進んでおり、金融業を失ったら成り立たない。
※ 国際金融センターランキング1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位香港、4位SP、5位
閉鎖的な東京=「英語でビジネスが出来ない」「日本国内の会計基準にあわせなければならない」
※ 日本は今のままでは世界の中心はおろか、アジアの中心にもなれない。
|